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続けること

​​こんばんは。

たびたび女子部ブログに登場しております、新3年COXの青木涼です。

最近よく考えさせられる、「続けること」について自分の考えを整理するためにもこちらに書き記したいと思います。

最近の私の趣味は、「面白いことをしている有名人のWikipediaでの経歴を調べる」ことです。こう書くとすごく気持ち悪いですね。ちなみに私が一番好きなテレビ番組はNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」です。

例えば、私が好きな俳優の一人である小日向文世さん。日本を代表する名バイプレイヤーですよね。彼は専門学校卒業後の22歳の時に俳優を志し、有名劇団文学座(長谷川博己さんを輩出した劇団です)の入団オーディションを受けるも不合格、中村雅俊さんの付き人を経て小劇団の俳優として19年間活躍します。しかし、結婚、長男生誕直後に劇団が解散。映像分野にシフトするも5年間のうちドラマ出演作は一本のみ。家族を抱えながら借金生活を送ります。2001年、彼に転機が訪れます。三谷幸喜さん演出の舞台に出演している小日向さんを見たフジテレビプロデューサーが、あのキムタク主演の大ヒットドラマHEROに起用したのです。これをきっかけに大人気俳優への道が開かれました[1]。ここまでなんと24年。

「長っ!」と思いませんか?当たり前のことですが、生まれたばかりの子が24歳になるまでの年月がかかったわけです。

芸能界は外見の良さや演技の才能が重視される世界です(たぶん)。しかし、小日向さんは失礼ですがカッコ良い部類に入る顔立ちではなく、文学座のオーディションに落ちるくらいですからきらりと光る才能があった訳でも無いのでしょう。いくら演劇に魅せられたとはいえ、24年間もの長い間、俳優を辞めるのが頭をよぎったことが一度もなかったとは思えません。それでも続けたことが、彼の成功の秘訣だったと思うのです。

話は変わって。

今朝の練習でフォアに乗ったのですが、練習は上手くいったとは言えませんでした。乗艇後のミーティングはもう、お通夜です。結果として、オールが一枚入っていない(わかりやすく言うと、オールが水面に入っている深さが適切ではない、と言う意味です)ことが艇のバランスが悪く、艇速が出ない原因だと言う結論に至りました。そんな中、練習を見てくださっていたコーチが、「じゃあどうしてオールが一枚入らないのか」と問題提起して下さいました。

こう言う時、いつも私は漕手の感想を聞いてそれと似た意見を言うようにしていました。自分が乗艇中に感じた感覚に自信がなく、間違ったことを言って否定されたらどうしよう、と思っていたからです。しかし、今日は自分が感じたことに自信を持って、素直に言うことができました。コーチも私の意見を肯定してくれて、そこからさらにこの艇を速く進めるにはどうしたら良いかと言う議論が広がりました。

本当に些細な出来事でしたが、自分の意見を伝えられた瞬間、「あ、COX楽しいかも」と初めて思えたのです。

実は、漕手からCOXに転向してからずっと、私はCOXに向いていない、でも自分の代でCOXは私だけだから頑張らないといけない、でも先輩と比較されるのは辛いし悔しい、漕艇部ではない場所の方が私は輝けるのではないか、辞めたい、とずっと気持ちが揺れ動いていました。それでも艇庫入りの日は無慈悲にやってくるので、COXは楽しい、面白い仕事なんだ、と言い聞かせて、笑顔を貼り付けてやってきました。

ここまで来るのに漕手半年、COX約1年かかりました。小日向さんの24年と比べるのは烏滸がましいくらい短い期間ですが、4年間しかない部活動のうち4割弱です。私にとっては決して短くはない期間でした。

プロフェッショナル仕事の流儀やウィキペディアを見ていて、その道とプロとなる人たちで共通しているなと思うのは、不遇の時代や挫折を経験していても、そこで辞めずに続けているということです。その道を究めるには、ある程度続けることが必要なのではないか、と彼、彼女らを見ていて考えさせられます。

今は、辛いことがあったら逃げ出して良い、と言う言説が主流です。もちろん、いじめやブラックな職場など明らかに不条理な事柄や場所からは逃げる必要があります。でも、辛いことと逃げずに向き合うこともまた、乗り越えてその先にある楽しさを味わうために必要なことだとも思うのです。

今後またCOXや漕艇部を辞めたいと思う日がきっと訪れるでしょう。そんな時は、今朝感じた楽しさを思い出して、いつかそんなこと忘れてしまうくらい楽しいと思える時が来ると信じて、頑張っていきたいものです。



[1] ウィキペディア「小日向文世」のページより

〈https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%97%A5%E5%90%91%E6%96%87%E4%B8%96〉(最終閲覧日2022年3月6日)




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